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発泡は排水処理施設の不調サイン?~色・粘性で予測する発泡の正体と対策~

水処理事業 2026.05.26

排水処理施設の管理で、特に担当者を悩ませるトラブルの一つが曝気槽や調整槽で発生する泡「発泡現象」です。
一時的に発生するだけならまだしも、泡が消えずに広がり続けてしまうと、処理能力の低下や汚泥越流、現場汚染などさまざまな問題を引き起こします。

実はこの泡、単なる見た目の異常ではなく、排水処理プロセスの不調を知らせる“サイン”なんです。
泡の色や粘性、消えやすさなどを観察することで、原因を推測し、適切な対策を選ぶ必要があります。 本コラムでは、排水処理施設で発生する泡の原因をタイプ別に整理し、それぞれの対策と改善方法を解説します。

まずは知っておきたい、排水処理に発生する泡のしくみ

排水処理施設の曝気槽を覗いた際、水面全体を覆うような泡に驚かされたことはありませんか?
発泡は、水と空気が混ざる曝気槽や調整槽などで特に発生しやすい現象です。
そのまま放置すると汚泥の越流や槽外への飛散につながり、作業負担や処理成績にも影響します。

ここで知っておきたいのが、泡と活性汚泥の状態の関係です。
そもそも活性汚泥とは排水中の汚れ(有機物)を分解する微生物の集合体で、排水処理の中心的役割を担っています。
この活性汚泥のバランスが崩れると、処理能力の低下だけでなく、水面に現れる泡にも異常として表れます。

活性汚泥が健全な場合の発泡
泡は少なく自然に消える
活性汚泥が不調な場合の発泡
泡が消えない、増え続ける(慢性的な発泡)

発泡は単なる見た目の現象ではなく、「活性汚泥の健康状態を知らせるサイン」とも言えます。
泡の量・色・粘性の変化は、微生物バランスの乱れや負荷の偏りなど、処理過程に起きている異常を読み解くヒントになります。

発泡がもたらす無視できないデメリット

現場負担だけでなく、処理性能にも影響が出てしまいます

発泡を「単なる見た目の問題」と油断してはいけません。
泡が増えると、現場や処理水質に次のような影響が出ることがあります。

環境と安全の悪化

泡が槽から溢れて周囲に飛散し、施設内外を汚染するほか、床面が濡れて作業者が転倒する危険が生じます。

処理能力の低下

泡とともに汚泥が流出(越流)すれば、沈殿能力が低下し、放流水の水質が悪化する恐れがあります。

コスト増加

慢性的な発泡は設備負荷増大のサインでもあり、薬剤費の増加や装置の早期劣化につながる可能性があります。

泡が発生する場所

基本的に、泡が発生する場所は水が攪拌され、空気混和される場所で発生します。つまり、排水処理施設では以下のような場所での発生が殆どとなります。

  • 曝気攪拌を行っている場所(曝気槽や流量調整槽など)
  • 高低差のある落水場所

皆様の管理する施設でも発泡が発生し困っているのは、上記のような施設ではありませんか?

発泡の原因:泡の状態から読み解く“兆候”

「色」「形」「粘性」で現場判断

発生する泡は、原因によって特徴が分かれています。
そこで担当者が現場で最初にできることは、泡の色や粘性、消えやすさを観察することです。

白い泡(洗剤・負荷過多が疑われる)

例えば、表面に光沢のある白い泡が発生している場合は、洗剤などの界面活性剤が流入した可能性が高いケースです。
原水負荷が大きい状態で微生物が十分に育っていないと、扱いきれない物質が残り、泡が発生します。
こういった泡は、散水で比較的消えやすい点も目安になります。

白色の大きな泡が発生した曝気槽の様子

白色の大きな泡
洗剤や毒性物質(殺菌剤など)由来の発泡

白色の小さな泡
放線菌由来の発泡

※放線菌とは
活性汚泥中にいる特殊な微生物で、酸素が多い条件で増殖しやすく、表面に粘り気のある泡をつくる原因になります。

白色の小さな泡が発生した曝気槽の様子

褐色・灰色の粘性のある泡(放線菌・糸状菌)

褐色・灰色の粘り気のある泡が発生した様子の曝気槽

粘り気があり、散水してもなかなか消えない泡は放線菌や糸状菌などが原因となる場合があります。
余剰汚泥を適切に引き抜けていない、処理が追いついていないなど、生物処理がアンバランスになっているサインです。

油脂やタンパク質由来の泡(食品工場排水に多い)

食品工場の排水など油脂やタンパク質が多い排水では、適切に分解されない成分が泡の膜を強化し、慢性的な発泡を招きます。

●脱窒や嫌気ガスによる浮上発泡(DO管理不足)

酸素不足で酸発酵が起こるとガスが発生し、その気泡が微生物や汚泥を巻き込んで泡になります。
また、脱窒による窒素ガスが大量に発生すると、泡とスカム浮上を同時に引き起こします。

「活性汚泥の泡がなくならない…」ときに疑うべきポイント

運転条件の乱れをチェック

慢性的に泡が収まらない場合、次のような運転条件の乱れが隠れている可能性があります。

  • 余剰汚泥の引き抜き不足(SRTの延長)
    汚泥が古くなり、放線菌が優占しやすい
  • 曝気不足や、過曝気による影響
    DO(酸素)の過不足は、どちらも微生物のバランスに影響が出る
  • 原水負荷の変動に対する曝気槽のコントロール不足
    たとえば「洗浄中のため排水が濃い」といった現場の動きに、曝気槽の調整が追いつかず発泡トラブルにつながる
  • 生物処理が困難な油脂・増粘剤の流入
    目視による管理では、見落としが生じやすいポイント

こうした項目が重なると様々な泡の原因物質が堆積してしまい、散水しても薬注しても解決できない発泡につながります。

対策方法 その場しのぎから根本解決へ

対策には、緊急的な対応と根本的な改善の2段階があります。

一時的な対策

散水(シャワーリング)

水をかけて物理的に泡を壊します。発泡の初期段階には有効です。ただ、ひどい発泡には効果が薄い場合があります。

消泡剤の添加

薬剤で泡の膜を消し、即効性はあります。しかし、原因を解決しない限り、時間が経てば再発します。

スキマー等の表面除去

泡や浮遊物を水面から物理的に取り除きます。ただし泡の出方がひどくなると限界があります。

根本的な対策(再発防止)

 運転管理の見直し

BOD汚泥負荷や栄養バランス、DO(溶存酸素)濃度が適切か検証します。

設備の改善

  • 負荷低減: スクリーンや加圧浮上装置を設置し、曝気槽に入る前の負荷を下げます。
  • 処理効率の向上: 特殊な曝気装置や流動担体を導入し、微生物の働きを強化します。
  • 中和: 殺菌剤やアルカリ洗剤が原因の場合は、pH中和装置や塩素中和装置を設置します。
  1. 汚泥濃度・余剰汚泥量の調整
  2. 曝気量・DO管理の安定化
  3. 原水負荷の把握と変動抑制
  4. 必要に応じ前処理設備追加(油脂や界面活性剤対策)

発泡は、排水処理プロセスにおける不調のメッセージです。
観察・原因整理・対策の3ステップで、現場の安定運転につなげることができます。
もしも定常的に発泡が発生する場合根本的な改善を進める方が結果的トータルコストの削減となる場合が多くあります
ただし、発泡の原因と対策は様々なパターンがあるため、熟練した技術者でないと判断が難しいものとなっております。

弊社では、排水処理施設の維持管理をトータルでサポートしており、特に発泡の原因となりやすい「曝気不全」の解消にも注力しています。 実は、発泡トラブルの背後には、散気装置の目詰まりや酸素供給の効率低下が隠れているケースが少なくありません。

酸素が水中に効率よく溶け込むことで、微生物の活性が安定し、結果として発泡を抑えつつ電気代などのランニングコストも抑制することが可能です。

実際に行われた対策例

現場では、状況に応じて様々な対策が組み合わされています。

<発生状況>

汚泥搬出時、吸引車のタンク内で発泡し、規定量の搬出が困難になる。

<対策>

移送方法の変更。
吸引車による直接吸引ではなく、ポンプを用いてタンクへ移送する手法を採用。
結果、泡立ちを抑えることができ、計画通りの搬出が可能となった。

<発生状況>

長期連休明けの製造開始時に発泡。
流入がない状態で処理が進み、微生物の共食いが発生したことが原因。

<対策>

曝気運転の適正化。
連休などの休止期間中に間欠運転ができるように、タイマーの設置をお客様に提案。

<発生状況>

膜処理槽にて発泡が発生。

<対策>

シャワー消泡装置の設計・設置。
自社で設計した散水設備により対策を
実施し、経過観察を実施。
結果、問題なしと判定できた。

まとめ

曝気槽での慢性的な発泡は、排水処理システムのどこかに不具合が生じているサインです。
大切なのは、その背景にある微生物のバランスや流入負荷の変化を正しく読み解くことです。

消泡剤にはシリコーン系、アルコール系、脂肪酸系など多種多様な選択肢がありますが、最適な選定には現場での細かな観察と知見が不可欠です。もし、現在の対策に違和感をお持ちであったり、原因の特定が難しい発泡にお困りでしたら、まずは専門的な視点での調査をご検討ください。 現場の状況を正しく把握することが、安定した排水処理への一番の近道となります。

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