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下水道管・埋設管の“見える化”で守るインフラ
~国交省「特別重点調査」から学ぶ、
民間企業がとるべき一手とは?~

インフラ整備事業 2025.07.02

目次
 1.増える陥没事故──他人事ではない、埋設管の「見えない老朽化」
 2.敷設50年未満でも危険──八潮市事故の教訓
 3.国土交通省も動いた──特別重点調査の実施を全国に要請
 4.まずは下水道管・埋設管の「見える化」から始めませんか?
  - お客様からの相談事例
 5.見落としがちなマンホール蓋も要注意──寿命はわずか15年
 6.まとめ

増える陥没事故─他人事ではない、埋設管の「見えない老朽化」

増える陥没事故──「うちは関係ない」と思っていませんか?
近年、私たちの足元で起きている“道路陥没事故”が大きな社会問題となっています。
2024年に埼玉県八潮市で発生した道路陥没では、深さ約3m・直径約2.5mの穴が突然出現し、
一帯が通行止めになるなど市民生活に大きな影響を及ぼしました。
さらに過去を振り返れば、2016年の福岡市博多駅前で起きた大規模な陥没事故も記憶に新しいところです。
これらの事故の根本的な原因の一つとして挙げられるのが、下水道管の老朽化です。

本コラムでは、こうした事故を未然に防ぐために民間企業がとるべき具体的な対策や、「見える化」によるリスク管理の重要性について、国の調査動向をもとにわかりやすく解説します。

陥没事故は年々増加!2025年も高い頻度で発生

国土交通省の発表によると、全国の道路陥没事故件数は以下の通り推移しています。

年度全国 陥没事故総件数
2020年約9,000件
2022年10,548件(うち13.1%が下水道施設起因)
2023年約2,700件(下水・雨水管が直接原因)
2025年最新集計は未公表だが、全国で頻発している
出典元:国土交通省HP

このように、2020年から比べて1割以上増加しており、2025年に入ってからも各地で大小さまざまな陥没事故が頻発しています。
下水道管の老朽化に伴うリスクは、確実に高まっていると言えるでしょう。

敷設50年未満でも危険──八潮市事故の教訓

下水道管の法定耐用年数は50年とされていますが、八潮市で事故を起こした下水道管は敷設から42年でした。
耐用年数に達していないにも関わらず、事故は発生したのです。
とくに、工場や施設構内の浅く埋設された配管は、地上の車両や重機の荷重の影響を強く受け、劣化が早まりやすい傾向にあります。

事故1件で復旧まで数百億。復旧の現実と重さ

この事故に対し、埼玉県は復旧費用として約300億円規模を見込んでいます。
すでに約189億円が予算計上済みで、管路の全面再構築を含めた大規模な復旧工事が進行中です。
さらに、復旧完了までには5〜7年かかると公表しています。

1本の下水道管の劣化が引き金となった事故――。
その影響が想像以上に大きく、復旧までに膨大な時間と費用を要するという事実は、下水道管・埋設管を管理・保有するすべての企業にとって、極めて重要な教訓と言えるのではないでしょうか。

国土交通省も動いた──特別重点調査の実施を全国に要請

国は事故を受け、全国の自治体に対して「下水道管路の全国特別重点調査」の実施を要請しました。
対象は以下の条件に当てはまる管路です。

  • 管径が2m以上
  • 平成6年度(1994年度)以前に設置されたもの

出典元:国土交通省

これは官公庁の動きですが民間企業の工場や敷地内の埋設管でも、条件に合致する場合は同様の劣化リスクが潜んでいます。

実際の管内調査で見つかった劣化・トラブル

管内に土砂が堆積すると流下能力が低下するだけでなく、悪臭や有害ガスを発生する場合もある

まずは下水道管・埋設管の「見える化」から始めませんか?

企業の地下インフラの維持管理において最も怖いのは、
「異常があるかどうかすら、分からない」「見えない、分からないまま放置すること」
そんな状況こそが、リスクの温床です。

私たちは、以下の3ステップを推奨しています。

  1. 現在の配管・マンホールの状態を“見える化”する
  2. 劣化箇所があれば、段階的に補修・更新を計画する
  3. 定期点検をルール化し、継続的に維持管理する

この3ステップを実現するための最初の一歩が、“点検”です。

近年では小型TVカメラを使った管内調査や、地上から専用機器で地中の空洞を調査する技術など効率的な点検手法も進化しています。

劣化レベルを見える化

報告書では、管内のどの場所に、どんな不良かあるのか、劣化レベル別に確認できるため、修繕の優先順位を決め、段階的に修繕計画を実施することができます。

地中を掘り返さずに管の状態を把握できるため、生産活動を止めず、業務への影響を最小限に抑えます。短期間・低コストで実施でき、異常がなければ安心、問題があれば早期対応が可能です。

また、経路確認から診断、補修のご提案までワンストップで対応するため、業者を切り替える手間もございません。

お客様からの相談事例集

相談事例① 管の経年劣化から油水混入

築数十年が経過した工場にて、雨水に油が混入していることが発覚し、調査のご相談をいただきました。

対応内容

カメラ調査を実施し、原因を特定。
問題の箇所を修繕し、油の流出を解消しました。
対応内容が環境対策の一環としてグループ会社(他工場)様からも高く評価。
現在は、他の工場からも同様のご相談を受けており、対策がグループ全体へと広がっています。

相談事例② 複数箇所の劣化で不明水の流入増加

雨天時に浄化槽から水があふれるようになり、不明水の流入が増加しているとのご相談をいただきました。

対応内容

埋設管の調査と更生工事を行うことで、不明水の流入を抑制。
調査により、管の不良や複数箇所からの浸入水などさまざまな要因を把握し、劣化状況に応じて修繕の優先順位を決定
その結果、適切な更生工事を実施することができました。

相談事例 経路不明の経路調査

工場敷地内で排水経路が不明な箇所があり、定期的に詰まったり、新たな設備導入時に既存の配管ルートが分からず設計が進まないといった課題が発生。
図面も古く、現状と一致しないため、「経路を把握したい」とのご相談をいただきました。

対応内容

管内カメラ調査にて経路を特定。
途中で接続されていた不要な配管や閉塞していた区間も判明しました。
判明した経路を基に、現況図の作成を行うほか、不要配管の切り離しや破損部の補修計画をご提案をしました。

- 点検は、事故を防ぐ「保険」です!-

以下のような状況は、どれも事故リスクを高める「サイン」です。
早めの点検をご検討ください。

  • 配管の正確な位置が分からない
  • 設置から30年以上経った埋設管がある
  • 設置から15年以上経ったマンホール蓋がある
  • 浅い位置に配管が埋まっている
  • 大型車両など敷地内を頻繁に走る
  • 長年点検・清掃をしていない
  • 図面が残っていない、配管経路を把握できていない

見落としがちなマンホール蓋も要注意──寿命はわずか15年

マンホール蓋の耐用年数は約15年とされています。
腐食やズレが起きたまま使用を続けると、踏み抜き事故や浸水などのリスクにつながります。

マンホール蓋と埋設管とあわせて、15〜30年単位での定期点検・更新サイクルを検討することをおすすめしています。


▼マンホール修繕工事については下記コラムへ

まとめ

私たちがこれからも快適かつ安全に暮らし続けるためには、「見えないインフラ」への意識を高め、適切な維持管理を行うことが不可欠です。
とくに民間企業においては、自社敷地内のインフラ管理は“自己責任”であることを踏まえ、定期的な点検・調査を通じて、トラブルを未然に防ぐ体制づくりが求められます。

「まだ問題が起きていないから大丈夫」ではなく、「問題が起きないように行動する」という予防的な姿勢こそが、これからの持続可能な社会の実現に繋がっていきます。

ぜひこの機会に、自社の地下インフラを一度見直してみてはいかがでしょうか。

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現状をしっかりと見極め、最適なプランをご提案できるよう、しっかりとヒアリングを実施したうえで、計画から運用までサポートをさせていただきます。
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